日記を燃やして

橋本絵莉子 日記を燃やして 1st Full Album 2021.12.8 (wed) ON SALE

【収録曲】

  1. ワンオブゼム
  2. かえれない
  3. ロゼメタリック時代
  4. タンデム
  5. あ、そ、か
  6. fall of the leaf
  7. 脱走
  8. 前日
  9. 今日がインフィニティ
  10. 特別な関係

リリース情報

1st Full Album
『日記を燃やして』
2021.12.8 (wed) ON SALE
SLRL-10074

ミュージックビデオ



コメント

インタビュー

——チャットモンチーの完結から3年が経つんですね。

橋本:はい、意外と早かったです。

——ソロ活動をしようというのは完結を決めたときから考えていらしたんですか。

橋本:いいえ、完結後のことはまったく決めていなくて。決めずに終わったっていう感じでしたね、あのときは。先のことはあんまり決めないでいてみようと思っていたところもあったし。

——意図的に考えずにおこう、と?

橋本:そうですね、意図的でもあるし、考えられなかったっていうのもあるし……両方かな。

——では、ぼちぼち動こうかなと思い始めたきっかけは?

橋本:2018年に完結したあと、年が明けた頃に「ホームページを作ろう」と思ったんですよ。そういう“自分の何か”を作ろうと思い始めたのが2019年の年明け前後あたりで。完結後、「歌唱をお願いできませんか」とか「曲を作ってください」とか、いくつかお仕事の依頼をいただいたりもしたんですけど、「こういうことをやりました」ってちゃんとお知らせできる場がないってことに気づいたんです。当時はまだSNSもやってなかったし、たまに日記を書いてたぐらいで、自分からお知らせしたりとかほとんどしていなくて。そうか、そういう場がないと告知もできんのやなって気づいて、じゃあ作ろうとなったんです。でも、ただ作るだけだったら面白くないから、最近作った曲のデモを録って、そこで発表したりもしてみようとか、ホームページを作るとなってから、どんどんアイデアが出てきた感じでした。

——面白いですね。ある意味、ホームページがソロの出発点みたいな。それまでの間、曲作りはされていたんですか。

橋本:曲は作っていました。でも、どこで発表するわけでもなく、思いつくまま気の向くまま、別にレコーディングもせんでいいし、ライブもせんでいいっていう状態でただ作っていたという感じでしたね。

——誰かに聴かれたいとか、届けたいとか、そういう感情も……?

橋本:一切なく作ってました、そのときは。

——そういう場合、創作意欲って何が源泉になるんでしょうか。

橋本:「できた!」っていう瞬間がいちばんうれしいんですよ。聴いてもらうにしても聴かせないにしても、そこから先のことはそこからっていう感じで(笑)。純粋に「できた!」っていう喜びが最初にある。

——自分のなかから衝き動かされるままに作る、みたいな。

橋本:そうです。なんだろう、絵を描くみたいな感じなのかな。

——昔からずっと?

橋本:そうだったのかもしれないです。でも、何にも予定してないっていう状態で曲を作ることがもうずいぶんなかったから、あんまり覚えてないですけど、始まりはそうだったのかも。

——詞先なのは変わりませんか。

橋本:はい、もう全部詞からです。

——そういう状態で作るのは純粋に楽しいんでしょうね。

橋本:楽しいです、すごい秘密の作業みたいな(笑)。自分しか知らない状態だから、コソコソしてる感じ(笑)。

——でも変な話、絵莉子さんにとって音楽は職業でもあるじゃないですか。音楽で食べていくという意識に変化はありましたか。

橋本:音楽が職業みたいな意識は完結したあとに一回、なくなりました。何の予定もないっていうのはそういう状況なのかなって。

——その状況に対して違和感や不安は?

橋本:どうだろう……でも、いろいろ調べたら、職業っていっぱいあるなって思ったんですよ。もちろん、そう簡単にできるものではないってわかっているんですけど、でも職業と音楽が絶対セットでなくちゃならないっていうふうには思わないというか。音楽以外にも働く術は何かしらあるんじゃないかなって。

——究極、音楽は趣味でもいい、と。

橋本:そうですね、趣味にもなるなと思いました。でも、やっぱり前にバンドをやってたっていう肩書きみたいなものはどうしてもあるから、そう考えたら、趣味にしたとしても立場的にはゼロではないし……なんだか不思議な感じでした、その頃は。

——ちょっと穿ったことを伺いますが、“元チャットモンチー”みたいな見られ方はされたくないなとか、そういう気持ちはあったのでしょうか。

橋本:いいえ、全然! むしろ私もついに“元”が付くようになったかと思って(笑)。“元”が付いていることによるメリットやデメリット、そういう名前にまつわることに関してはすごく客観的に考えていた気がします。たまにちょっと複雑なときはありますけど。

——それは“橋本絵莉子”として見てほしいという気持ちに由来するものだったりするんですかね。

橋本:だと思っていたんですけど……橋本絵莉子として見てもらうためには「私はこういう者です」っていう、それこそ名詞代わりになるような音源やCDがないとダメだな、まだ自分はそこまで行けてないなって思っている部分もあって。そういうのも含めて、今回のアルバムに向かっていったんです。

——アルバム制作への意欲がより具体化したのは、いつ頃ですか。

橋本:曲が溜まってきて、もうそろそろ作れるかもねってなったのが2020年の頭ぐらいでした。実はこのインタビューに臨むにあたってアルバムに入ってる曲がいつ作られのたかを調べておいたんですよ。そしたら2018年から今年、2021年までに作った曲がわりと満遍なく入っていて。

——ちなみにいちばん最初に作った曲はどれでした?

橋本:確か「かえれない」と「特別な関係」ですね。この2曲は2018年に作ってます。「fall of the leaf」も歌詞を書き始めたのは2018年の秋くらいだったんですよ。で、2019年に「あ、そ、か」と「ワンオブゼム」を作って。

——「あ、そ、か」は今年6月に全国公開された映画『海辺の金魚』の主題歌にも起用されていますが、オファーを受けて作られた曲なんですか。

橋本:いえ、2019年にもともと作っていた曲を映画用に少し直して使ってもらったという感じですね。そのあと2020年に「ロゼメタリック時代」と「タンデム」と「前日」、2021年に「脱走」を作って、いちばん新しいのが「今日がインフィニティ」です。

——「今日がインフィニティ」、めちゃくちゃかっこいい曲ですよね。絵莉子さんの血がたぎりまくっているのを感じます。

橋本:これはレコーディング中に作った曲なんです。今回、サポートをお願いしたメンバーの方たちと一緒にレコーディングしていて、とにかく楽しかったんですよ。この曲をひと言で表すなら“バンドは楽しい"(笑)。

——なるほど(笑)。そう、今回のアルバムを聴いて特徴的だなと思ったのはバンドサウンドで。バンドで演奏するというのも今作のテーマのひとつだったりするんでしょうか。

橋本:最初はほんとに意識せずに作ってたんですけど、曲を並べてみたらほとんどがバンドサウンドだったんですね。

——つまり絵莉子さんが作った時点でバンドサウンドを想定した曲になっていた。

橋本:そうです。

インタビュー・テキスト:本間夕子

★このインタビューの続きは、【豪華盤】に付属される『ぷらいば誌3』にインタビュー完全版として収録されます。

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